キマイラ


心の奥底に飼っている幻想を

外の世界へ連れ出したくなった。

此の獣は夜ごと

地に繋がれた現身(うつせみ)から離れ

無窮の世界を飛翔する。

私が、朝目覚めたときには

再び胎内で眠りにつく。

人は誰も

此の生き物を心の中で飼っているからこそ

現実世界を生きていけるのだろう。