美少年ナルキッソスは他人を愛することのできない傲慢さの報いを受けた。
水鏡に映る自らの姿に恋焦がれてしまうのである。
決して報われることのない恋にやつれ、少年は息絶えて水仙の花になったという。





  

Caravaggio “Narcissus”1598-99

水に映る己の姿にかなわぬ恋をする少年
その表情が恋の懊悩の深さを物語っている。
  
水面に映る姿は描かれてはいないが
陰鬱な表情は許されぬ恋の憂いを雄弁に伝えている。

Giovanni Antonio Boltraffio “Narcissus”c.1500

  

Adolf Joseph Grass “Narcissus”

美しい裸身を惜しげもなくさらす美少年。
その姿はすでに水辺の花と化しているようである。
  
背後のクピドはこの光景が愛の場面であることを示しているが、
少年の求める愛の交歓は決して叶わぬものである。

Karl Brulloff “Narcissus”1819